嫌いな食べ物

・キュウリが嫌い。

小さい頃は好きでも嫌いでもなかった。でも、近くで農業をしている父方の祖父が季節になると、しょっちゅう、大量にくれるから、朝昼晩食卓にキュウリが出て、どんどん嫌いになっていってしまった。

母親のキュウリのレパートリーは二つしかない。斜めに切って塩かマヨネーズをつけるのと、スライサーで薄くして酢の物にする。その二つ。酢の物の方は、千鳥酢が使われていたけれど、酢がキツくて嫌だった。

生のキュウリは皮の表面の食感が舌に当たって気持ち悪かった。

スーパーに並んでるようなものは少なく、皮が厚くてゴツゴツして青臭いから、エグみのある青臭さにウエッとなる。

そのどちらかが、弁当にも入っている。内心は食べたくない。でも、他にそんなにおかずがないから、仕方なく食べる。

食卓にこのキュウリがいつも出ていて、食べたくないのに、食べさせられていた。

食卓で一品だけ食べないのは不可能。じゃあ他の料理も食べるな、と言われる。

いつも、二言目には、じゃあ食べるな、だった。

キュウリって食べる意味のない食材だと思う。ほぼ水で、特に栄養もない。存在意義がない。外皮が硬くてブツブツしているのが気持ち悪い。それを我慢して噛むと青臭さが鼻の奥に立ち上ってウッてなる。硬い外皮と中のペチャペチャした部分が口の中で混ざって、気持ち悪い。それを、一口一口我慢しながら食べないといけない。気色悪い食材だと思う。私が実家を出たのは2008年の3月だけど、その前の年2007年の夏から、自分では一回も食べてない。外食で出されたら、食べる。

 

・茄子も好きじゃない。フガフガした食感が気持ち悪い。すぐ変色するし、その変色した色が気になる。皮はキュッキュとしてるのに、中はたよりない、その外側と内側が、合わない。間違って、台所で食器を洗うスポンジを調理したのを食べているように気分になってくる。

 

・味噌汁が嫌い。

具だけ食べて、汁はいらない。実家では、白い粒(たぶん麹)の入った味噌を使っていて、濾さずに入れるから、いつも白い粒が茶碗の底に残って、それがウジ虫みたいで気持ち悪かった。最後、汁を、黙って、排水溝に流していた。

見た目もそんなふうに嫌いだし、私は、食事中に水分を摂るのが嫌。なぜかというと、食事中に、たとえ飲み物でも水分を摂ると、胃液が薄まって、胃が痛くなるから。だから、給食の牛乳なんかは、胃が痛いのを我慢して飲んでいた。給食の味噌汁は、子どもが飲みやすいように味が濃くしてある。しかも量が多くない。だから、おかず感覚で食べられた。

味噌汁の汁、実家のはマズかった…。実家を出てからは、もう味噌汁を飲まなくてよくなって嬉しかった。その後、7年くらい経ち、ほんの一時期健康のために味噌汁を作っていたけど、やっぱり味噌汁が嫌いなことを再確認しただけだった。お酒飲めないのと同じで、味噌の、発酵した風味に、味噌の蓋を開けた瞬間からウッとなる。味噌は、自ら好んで求める味、風味ではない。今では、稀に、気が向いた時、一年に数回、お湯を注いだらできる味噌汁を買うから、一年に15回くらいだけ、味噌汁を、食している。