実家はメシマズだった。

大学生以降、一人暮らしで、食べたくないものを食べなくてよくなって、すごく幸せ。

 

うちの母親が作るメシはマズかった。

 

小学校の頃は、給食マズいと言ってる同級生もいたが、私は給食が美味しかった。

家の食事がマズいから。

 

家の食事がマズいといっても、朝は自分でトースト焼いて、ジャムか何かを塗って食べる、それだけ。

昼は給食なので、結局家で食べる親が作った食事は平日は夜だけなのだが、それがマズかった。

 

献立もワンパターンで、しかも嫌々調理するから余計マズい。

イライラしながら食材を切ったり、乱暴に調理器具を扱ったりしているのが、いつも、見苦しかった。

 

中高六年間は弁当だったが、朝ギリギリに起きて、起き抜けの不機嫌な状態で、夕食の調理の時よりもさらに投げやりに作るからマズかった。

特にマズいのが卵焼き。

湿ったタイプの塩を、塩加減も考えず塊のまま卵液に投入するから、どれだけ塩辛いのか、というほど塩が入っていて、一口食べると頭痛がするような塩辛さだった。

その卵液にまた、小口切りにして常備している半ば乾燥したネギを生のまま入れて焼くから、ネギに火が通ってなくて、ジャリジャリして青臭く、弁当食べてるときに耐えられなくて吐き出したことが何回もあった。

卵液には火が通ってるが、混ぜられている小口切りのネギには火が通ってなくて、乾燥して硬くてジャリジャリしている状態を想像してほしい。食感も、香りもミスマッチで、想像するだけで吐き気がする。

 

二回ほどそれについて改善を求めたが、逆ギレされただけで終わった。

普段の食事でも、何か文句を言おうものなら二言目には「じゃあ食べるな」なので、言ってやっても意味はないのははじめから分かっていたが。

あまりにも食べられない酷さのときはこっそり捨ててた。

 

父親は気に入らないことがあると子どもに向かって「誰のおかげでメシ食ってるんや」などと何回も何回も言ってきた。

じゃあ、そんなに子供にメシ食わせたくないのなら、メシ食わせるほどの甲斐性もないのなら、子ども作るなよ、といつも思っていた。

今考えると、モラハラ以外の何物でもない。

 

今でも覚えているのは、三歳くらいの時、母方の祖父母の家で祖父母と両親と食事をしている最中に、ご飯は一粒も残すな、と言われ、食器棚の上に乗っている茶色い細長い何の像かは分からない像を指して、もし残したらお米の神様に怒られるなどと言われたことだ。

「お米の神様」などと持ち出し、それに「怒られる」から残すななどという論理でしつけをしようという発想が、いかにも古くさい。

 

両親は、メシにこだわり、量も、大量に食べる。

マズいメシを、大量に食ってる感じ。

子どもに対して二言目には「じゃあ食うな」という家畜扱いをするのは、自分らが畜生レベルの人間だからだろう。